2010 Fiscal Year Annual Research Report
輝度の時間的変動を伴う光環境の心理学的及び神経生理学的評価に関する研究
Project/Area Number |
08J09749
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡本 洋輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光環境 / 輝度 / 時間的変動 / エンベロープ / 知覚メカニズム / 時間周波数チャネル / 順応効果 |
Research Abstract |
輝度が正弦波状に時間変化する点滅光刺激(正弦波点滅光)に対する知覚感度は10Hz付近にピークを持つ帯域通過型の周波数特性を示す.これは視覚系に存在する,低時間周波を処理するローパスチャネルと高時間周波数を処理するバンドパスチャネルの影響によると考えられている.複数の正弦波状の点滅光を合成した刺激や,点滅光を正弦波状に振幅変調した刺激(振幅変調点滅光)に対しては,刺激の周波数成分には含まれない,輝度の時間変化のエンベロープに対応した周期性が知覚されるが,その知覚メカニズムの詳細は不明である.本研究では,低時間周波数または高時間周波数に順応後,高時間周波数のキャリア信号を持つ振幅変調点滅光のエンベロープ周期(低時間周波数)に対する検出閾測定と脳磁界計測を行った.また比較のため,同条件での順応後,低時間周波数または高時間周波数の正弦波状点滅光に対する検出閾測定と脳磁界計測を行った.その結果,正弦波状点滅光に対しては,従来の研究にみられるように,低周波に順応後は低周波で,高周波に順応後は高周波で順応効果が大きかった.一方,振幅変調点滅光のエンベロープ周期に対しては,高周波(キャリア周波数)に順応した場合よりも低周波(エンベロープ周期)に順応した場合に順応効果が大きいことが明らかとなった.この結果は,振幅変調点滅光のエンベロープ情報が視覚系のローパスチャネルの影響を受けていることを示している.従来の研究結果と本研究結果を基に振幅変調点滅光のエンベロープ知覚メカニズムについて考察を行うことによって,振幅変調点滅光のキャリア成分がバンドパスチャネルの影響受けた後に,エンベロープ成分が抽出され,抽出されたエンベロープ成分はローパスチャネルの影響を受けている可能性が示された.
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Research Products
(2 results)