2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 一生 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植民地 / 教員 / ネットワーク / 青島 / 戦前日本 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦前日本の植民地教員の移動を「教員ネットワーク」という分析概念を用いることで以下の三つの課題を設定した。第一に、教員養成校と植民地の学校との関係を分析することである。第二に、教員の個人的なつながりや認識に着目して分析することである。第三に、植民地当局と教員との関係に注目して、植民地における教員社会の多様性を明らかにすることである。研究対象を第一次世界大戦期に日本軍が占領し、1922年に中華民国に還付した膠州湾租借地(青島)に絞り、教員人事を帝国日本内の人事異動の構造について研究している。第一の課題について、広島高等師範学校を中心として解明を展開したのが論文「帝国日本内を移動する教員」である。広島高師出身教員のその後の履歴を追ったところ、(1)「内地」に転出した者(2)他の「外地」に転出した者(3)長く同じ学校に勤めた者の3つの類型に分けられた。第二の課題について、教員の個人的つながりを明らかにする史料として青島中学校の教員の日記史料と書簡史料を新たに発掘した。そして教員採用が具体的にどのように行われていたのか、その一連の流れを展開した。第三の課題について以下の2報告で展開した。第一に「青島守備軍による青島の公学堂と中華民国中等学校との連絡問題について」で青島守備軍側はカリキュラム編成が同一であることを根拠に公学堂と中国側中等学校との直結を求めたが、中華民国側は修業年限の違いを理由に直結を拒否したことがわかった。第二に発表報告「日本統治時代の青島における初等教員人事の構造に関する一考察」では(1)小学校教員ネットワーク(2)小学校・公学堂・日語・支那語学校を兼職する日本人教員ネットワーク(3)公学堂および目語・支那語学校の中国人教員ネットワークという三層構造のネットワークが折り重なって青島の初等教育の人事が動いていたことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)