2008 Fiscal Year Annual Research Report
低緯度MIZ向けの海氷熱力学モデル開発とオホーツク海海氷海洋結合シミュレーション
Project/Area Number |
08J09767
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤崎 歩美 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オホーツク海 / 海氷-海洋大循環モデル / 海氷 / 海氷-海洋相互作用 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
海洋の中規模渦(数百km)を解像する格子サイズでは初めてのオホーツク海における海氷-海洋結合数値シミュレーションを実施した。海洋モデルはPrinceton Ocean Modelベースの3次元、静水圧近似モデルを用いた。海氷モデルでは海氷域を連続体として扱い、弾粘塑性モデルに氷盤間衝突を考慮したモデルを使用した。外力となる気象データには気象庁領域スペクトルモデル客観解析値(1998-2000年)を使用した。今年度はモデル構築、シミュレーションの実施、及び結果の観測との整合、大気-海氷間抵抗係数C_Dの感度実験を目的とした。 モデルにより得られた海氷分布は同時期の気象庁海氷解析図とよく対応し、また東サハリン海流の流量も観測とよく対応していた。さらに海氷生産に伴い生産される重く冷たい高密度陸棚水の再現に成功した。モデルで得られた高密度陸棚水の生産量は衛星データや水温塩分観測データによる見積りとよく対応していた。C_Dの感度実験において変動幅はオホーツク海南部沖合にて2002-2005年2月に行った直接計測結果(Fujisaki et al.2009,J.Oceanogr.,accepted.)を元に決定した。感度実験の結果、海氷移動速度及び東サハリン海流の流量はC_Dとともに増えるが、海氷分布はC_Dの影響をほとんど受けないことがわかった。これは比較的暖かい北太平洋海水の影響により南西部の氷縁付近で活発な融解が生じていたためである。このような融解は海氷-海洋間の接触面積に依存する。また接触面積は氷盤大きさが比較的小さい氷縁付近(Marginal Ice Zone,MIZ)で大きくなる。このようなMIZにおける融解をより正確に表現するには接触面積を考慮したMIZ向けの定式化が重要である。本モデル結果を元にMIZ向けの海氷-海洋相互作用の定式化について考察していく予定である。
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Research Products
(4 results)