2008 Fiscal Year Annual Research Report
Laves相の析出形態制御を利用した高強度オーステナイト系耐熱鋼の設計
Project/Area Number |
08J09769
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 茂浩 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属間化合物 / Laves相 / 優先置換site / 構造対称性 / 析出形態制御 |
Research Abstract |
金属間化合物Laves相を強化相とするオーステナイト系耐熱鋼の設計指針を得ることを目標に,Laves相の析出形態制御のための基礎的な知見である以下の2項目について調べ,第三元素添加に伴うLaves相内のFe原子四面体及びkagome-netの対称性の変化を検討した. 1.Fe-Nb-M3元系状態図の構築 Fe siteに置換する添加元素MとしてFeよりも原子半径の大きいCr,Mnと原子半径の小さいCo,Niを選定し,1473K及び1373KにおけるFe_2Nb単相領域及びγ-Fe/Fe_2Nb2相平衡領域を調べた.その結果,Fe_2Nb Laves相領域は等Nb濃度方向に大きく拡大し,MnはFe原子の全てと,Cr及びCoはその約8割,また最も固溶量の少ないNiでもFeの6割以上と置換することを見い出した.またMn,Coの添加によりNiと同様,広いγ-Fe/Fe_2Nb2相領域が現れることを明らかにした. 2.Fe_2Nb Laves相におけるM元素の置換siteと構造変化 Feよりも大きいCr,Mnは固溶量がそれぞれ約16.7at.%及び約33.3at.%まではFel siteに置換し,固溶量の増加に伴って優先置換siteはFe2 siteへと変化すること,一方,Feよりも原子半径の小さいCo,Niは固溶量によらずにFe2 siteに置換することを明らかにした. Feよりも原子半径の大きいCrの固溶はkagome-net内における四面体の原子間距離(Y)を増加させるものの,四面体同士を結ぶ原子間距離(X)を低下させるため,kagome-netの対称性は低下すること,一方,Feよりも原子半径の小さいNiの固溶はYを低下させ,四面体及びkagome-netの対称性は向上することを見い出した.なおNb siteに置換する元素についても検討し,MoのNb siteへの置換により四面体及びkagome-netの対称性が向上することを見出した. 以上の結果からFe siteへのNiの置換によりFe原子四面体及びkagome-netの対称性は向上し,オーステナイト母相へのLaves相の析出形態の制御が可能となることが明らかとなった.
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Research Products
(3 results)