2008 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀サメ類の栄養段階変遷:多くの高次捕食者を伴う白亜紀後期海洋生態系の形成過程
Project/Area Number |
08J09805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨田 武照 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サメ類 / バイオメカニクス / 機能形態学 / 魚類 / 白亜紀 / 古脊椎動物 / 遊泳 / 呼吸 |
Research Abstract |
白亜紀後期の海洋は、10mを超える海生爬虫類や、現生で最大のホホジロザメに匹敵するサイズのサメが一つの海域に5種も生息するなど、巨大な海生脊椎動物が多数生息していた時代として知られている。このような生態系は現在の海洋では知られておらず、白亜紀後期には現在と異なった生態系が存在していたことが示唆される。私の修士研究において、白亜紀を通じたネズミザメ類の食物連鎖での地位の変遷を復元し、その地位が白亜紀中期(Albian)に急激に上昇することが初めて明らかとなった。この時期は、白亜紀が急激に温暖化する時期ともおおよそ一致し、白亜紀中期に海洋生態系の大きな変革があったことが予想される。このサメ類のような高次捕食者を含めた生態系の変革はこれまで捉えられたことはなく、この現象の全貌を明らかにすることは高次捕食者の進化を考えるうえで極めて重要である。 そこで博士研究では、遊泳性(海洋表層と中層に生息する)サメ類と底生(海底に生息する)のサメ類を分離することにより、白亜紀中期のイベントのより詳細な把握を目指している。そのために、まず遊泳性と底生のサメを分離する手法の開発を行った。具体的には、遊泳性と底生のサメの呼吸方法が異なることに注目し、現生サメ類の鰓骨格を解剖学的・物理学的に解析することで化石サメ類の呼吸法の復元を行った。この結果は今年度の古生物学会でポスター賞を受賞した。さらに、遊泳性と底生のサメ類で遊泳速度が異なることに注目し、サメの鱗が遊泳時の抵抗を減少させる特性があることを利用することで、遊泳速度を推定する手法の開発を行っている。今後、底生サメ類と遊泳性サメ類を認定し、白亜紀中期における変遷過程の違いを検証する予定である。
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Research Products
(6 results)