2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸下 奈津子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 抗原受容体 / 遺伝子再編成 / VLR / 獲得免疫系 / 分子免疫学 |
Research Abstract |
獲得免疫系は、外界から侵入してくる病原体を特異的に認識・排除するために脊椎動物が持つ高度なシステムであり、ゲノム再編成により多様化される抗原受容体が重要な役割りを果たしている。獲得免疫系をもつ最も下等な脊椎動物であるヤツメウナギやヌタウナギ等の無顎類は、イムノグロブリン(Ig)型の抗原受容体ではなく、variable lymphocyte receptor(VLR)を抗原受容体として持っている。VLRには2種類(VLR_AとVLR_B)存在していることが知られているが、どちらも複数のleucine-rich repeat(LRR)を含み、それぞれの分子はLRRの数とその配列において極めて大きな多様性を示す。VLR遺伝子は、V(D)J組み換えとは異なる遺伝子再編成機構により多様性を創出している。Ig型抗原受容体では遺伝子組み換えの制御が重要であることが知られているが、VLR遺伝子再編成がどの様に制御されているのかについて調べるため、ヌタウナギのVLR遺伝子(VLR_A及びVLR_B)の再編成をsingle-cell PCRを用いて解析した。その結果、これら2つの遺伝子の再編成は相互排他的に起こっていることが明らかとなり、無顎類の免疫系において、少なくとも2種類のリンパ球(VLR_Aを発現するものとVLR_Bを発現するもの)が存在することを示している。また、上記のsingle cell PCRによって得られたVLR遺伝子の塩基配列を解析した結果、全く同じ可変領域の配列を持つリンパ細胞がVLR_Aで十数例見つかった。遺伝子再編成により偶然に同じ可変領域の配列が作り上げられる確率は極めて低いので、これら同じ可変領域の配列を持つ細胞は、VLR遺伝子を再編成した後、クローナルに増殖したものであると考えられる。
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Research Products
(2 results)