2008 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック配位子による光応答性希土類錯体の開発と非破壊再生型光記録への展開
Project/Area Number |
08J09813
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 哲也 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトクロミック化合物 / 希土類錯体 / 発光 / 光スイッチング |
Research Abstract |
希土類錯体はf軌道間の電気双極子遷移に基づく強発光を示す。この希土類錯体の発光起源となる電気双極子遷移は錯体構造の対称性に依存し、非対称な配位構造は電子遷移の許容化を促進することが知られている。この希土類錯体の錯体構造を光照射によって変調することができれば、電子遷移許容性と発光特性を光制御することが可能となり、新しい光書き込みメモリや光スイッチング材料への展開が期待できる。本年度は、光応答性希土類錯体を光書き込みメモリへ応用することを目的として、スルホニル基を配位座として有する新規フォトクロミックEu(III)錯体を合成し、そのフォトクロミック特性および発光特性について検討した。Eu(III)錯体は紫外光および可視光照射により無色から黄色への可逆なフォトクロミック反応を示した。また、可視光照射に伴うフォトクロミック反応によってEu(III)錯体の発光強度が増大することが明らかになった。これは、フォトクロミック反応に伴う配位構造変化によってEu(III)の電気双極子遷移の許容性が変化したことに起因すると考えられる。この発光強度変化は526nmの励起光によりEu(III)イオンを直接励起することで非破壊的に読み出すことが可能であるため光記録材料として機能する。本研究で見出したフォトクロミックEu(III)錯体は今後、光書き込みメモリや光スイッチング材料へ幅広く展開できるものと期待される。
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Research Products
(7 results)