2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09836
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高櫻 綾子 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 親密性 / 「ね」発話 / 3歳児 / 仲間関係 / 遊び / 参加観察 / 親密性形成前段階 |
Research Abstract |
「3歳児における遊びと親密な仲間関係の共発達」に関する研究として,本年度は高櫻(2007)の結果を受け,「ね」発話と親密性形成前段階に焦点をあて研究を実施した。 1.「ね」発話 これまでに幼児が遊びのなかで交わす「ね」発話(e.g.一緒に遊ぼうね,ね〜仲間に入れて)は分析されていない。そこで保育園の3歳児クラス20名の子どもを対象に1年間(各月2回)の参加観察を行って得たデータを使用し,「ね」発話の使用に関する2要因(共に遊ぶことへの志向度,優先度)を提起した上で,「ね」発話のカテゴリーの作成と二者関係の変化との関連を検討した。その結果,「ね」発話は15の機能別カテゴリーに分類され,相手との関係の深まりが二者間で使用する「ね」発話の種類や発話数に反映することが明らかとなり,「ね」発話が幼児の関係性を捉える手がかりとなることを示した。また「ね」発話が特定の幼児だけでなく,3歳児クラス全体においても利用しやすいものであり,「ね」発話を間主観的な発話として使用しながら遊びや仲間との関係を深めていくことで親密性の形成に繋がることを明らかにした。 2.親密性形成前段階 特定の他児との遊びは親密性の形成に重要な役割を果たす(高櫻,2007)。しかし同じクラス内であっても気の合う仲間がすでにいる場合もあれば,一人遊びを楽しむ子どももおり,特定の他児を見つけるには個人差がある。 そこで一人遊びを行っていた男児1名を対象児とし,3歳児クラスでの1年間の事例をもとに,親密性形成前段階である一人遊びから仲間との遊びへと移行する過程を分析した。その結果,遊びにおける相互作用を通して,他児がそばにいる存在から共同行為者やコーディネーターへと変化すると同時に,その言動を参照しながら仲間との遊びへ移行する等,親密性形成前段階における相互作用の発達と関係形成との関連を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)