2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09871
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 藍 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 神経回路形成 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
嗅球における糸球マップの形成には、嗅神経細胞において発現される嗅覚受容体自身が重要な役割を果たすことが知られている。この受容体依存的な軸索投射機構は、嗅球の前後軸に沿った大まかな位置決めのプロセスと、最終的に同種の受容体を発現する嗅細胞の軸索末端を収斂させるプロセスからなると考えられている。 最近の研究結果から、これらの過程に関わる主要な軸索ガイダンスレセプター、あるいは細胞接着分子が同定され、その機能が明らかにされつつある。しかしながら、初期に起こる前後軸の規定と最終的な軸索末端の分離という二つの過程が、同一の嗅覚受容体によってどのように制御されているかは全く明らかにされていなかった。 そこで、受容体下流のシグナル伝達経路が軸索ガイダンス分子の発現制御に関わる可能性を考え、これを検証するべく研究を行った。嗅覚受容体の活性化はGタンパクを介してアデニル酸シクラーゼ3(AC3)によるcAMPの産生を促すことが知られている。このAC3欠損マウスの嗅細胞においての発現量にいかなる影響があるのかを解析したところ、野生型マウスにおいて見られる受容体の種類に対応したガイダンス分子の発現プロファイルが大幅に変化することが明らかになった。また、このマウスにおいては嗅球の前後軸に沿った軸索投射も軸索の収斂にも異常が見られることから、マップ形成の二つの過程に関わるガイダンス分子群の受容体の種類に対応した発現量を規定するためには、嗅覚受容体-AC3のシグナル伝達経路が重要であることが示された。
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Research Products
(1 results)