2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を用いるα-ケトカルベン種の新規発生手法の開発
Project/Area Number |
08J09873
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 健人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | α-ケトカルベン / 遷移金属錯体 / 塩化白金 / カルボニルイリド / カルベン錯体 / 8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン / [3+2]型付加環化 / γ,δ-イノン |
Research Abstract |
遷移金属カルベン錯体はシクロプロパン化反応、挿入反心、メタセシス反応など、多様、かつ特徴的な炭素骨格構築あるいは分子変換を行うことのできる大変興味深い化学種である。すでに筆者は塩化白金錯体を用いて鎖状・,・-イノンから触媒的に白金含有カルボニルイリドを発生させることに成功している。この白金含有カルボニルイリドは不飽和分子と[3+2]型の付加環化反応を起こすカルボニルイリドとしての性質とカルベン錯体としての性質を併せ持つ興味深い新規化学種であり、ビニルエーテル類と反応を起こし生成物として8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体を与える。そこでまず、この反応について触媒の再検討を行ったところ、触媒としてカチオン性白金ホスフィン錯体を用いることで効率的に反応が進行し、より短時間で反応が完結することを見出した(塩化白金の場合:数日間、カチオン性白金ホスフィン錯体の場合:2〜4時間)。また錯体上のホスフィン配位子の検討を行い、異なる2種の生成物の選択的合成を達成した。どちらの生成物も合成化学的に利用価値の高い8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体であり、本反応は非常に優れた炭素骨格構築法である。 次に、カルベン炭素上にカルボニル基の置換したカルベン錯体(α-ケトカルベン)を遷移金属錯体に特徴的な反応を利用して、容易に入手可能な前駆体から触媒的に発生させる手法の開発について検討を行った。まず炭素-ハロゲン結合の酸化的付加を契機とするアプローチで様々な遷移金属錯体、反応基質について検討を行ったが、目的とするα-ケトカルベンを発生させることはできなかった。また、アルキンの求電子的活性化を契機とするアプローチについても同様の検討を行ったが現在のところα-ケトカルベンの発生には至っていない。今後さらに詳細な検討を行っていく計画である。
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Research Products
(3 results)