2009 Fiscal Year Annual Research Report
動作の概念を運動情報に変換する神経メカニズムの生理心理学的研究
Project/Area Number |
08J09883
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中山 義久 Tamagawa University, 脳科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 動作概念 / 運動前野 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動作を実行する過程について、概念レベルの動作と実際の動作の神経基盤、また概念レベルの動作から実際の動作に変換する過程のメカニズムを、神経活動レベルで明らかにすることである。そのため、視覚刺激が概念レベルの動作の指示のみを行い、その後、具体的な動作を決定することができる課題を作成した。また、コントロール課題として、概念レベルの動作を伴わない、直接的な動作の指示のみを行いその動作を実行する過程を検討できる課題も作成し、比較検討を行った。これらの課題を遂行中のサルの前頭葉から細胞活動の記録を行った。当該年度においては、運動前野の背側部と腹側部が、直接的、あるいは概念レベルの動作を指示する視覚刺激に異なる応答特性を示すことを明らかにした。運動前野腹側部の細胞は、視覚刺激が運動のターゲットが直接的に指示した場合(出てきた物体に直接到達運動を行う場合)に強い応答を示す細胞が多く見られた。一方、運動前野背側部の細胞は、直接的に指示される場合に加えて、視覚刺激が概念レベルの動作を指示した場合にも強い応答を示すことが明らかになった。この結果から、直接的な指示刺激をもとに運動前野の背側部と腹側部と結びつき視空間的な情報処理をして運動の実行に移す系と、恣意的な指示刺激をもとに運動前野の背側部と結びつき、概念レベルの動作から具体的な運動情報に変換し実行に移す系の2つが、分かれて存在することが示唆された。
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Research Products
(6 results)