2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンの光誘起固液界面親和性変化に関する実証的研究
Project/Area Number |
08J09886
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
有光 直樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化チタン / 原子間力顕微鏡 / 紫外線照射 |
Research Abstract |
本研究では、紫外線照射による酸化チタン表面のぬれ性変化への表面構造や表面エネルギー分布等の影響を明らかにすることを目的としており、平成21年度はルチル焼結体の光誘起表面摩擦力変化について詳細に検討を行った。ルチル焼結体の作製、表面の鏡面研磨、摩擦力顕微鏡による表面摩擦力測定は昨年度検討した方法をもとに行い、大気中での表面摩擦力変化に及ぼす紫外線照射の影響を調査した。その結果、紫外線照射により、表面粗さは変化しないが、表面摩擦力は粒界近傍と粒内とで差が大きくなり、その変化の程度は、粒界を挟む粒子間において違いが見られることが明らかになった。また、電子線後方散乱回折を用いて結晶面方位との対応付けを行ったところ、紫外線照射による粒子ごとの表面摩擦力変化の程度の違いは、ルチル単結晶における光触媒反応の活性の結晶面方位依存性と対応が見られた。これらの結果から、酸化チタン多結晶体では、光照射による表面変化の程度が粒子径及びその分布、粒界の配置等の組織に依存することが明らかになり、このことは発現する光触媒反応にも影響することが示唆された。本研究の成果は、酸化チタン表面の光誘起親水化活性の向上に向けた、新たな設計指針につながると考えられる。これまでの成果を学位論文にまとめ、平成21年9月25同に東京工業大学から博士(工学)を授与された。
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