2008 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ帯観測を目指した超伝導HEBミクサ受信機の開発
Project/Area Number |
08J09892
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芝 祥一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | テラヘルツ / 電波天文学 / 超伝導素子 |
Research Abstract |
Nb/Au2層薄膜のTc測定を行ったところ、HEB素子に用いている膜厚15nmのNbでは、電極部分のAuはTcにはあまり影響せず、むしろNbの膜厚の効果のほうが大きいことがわかった。また今年度、山倉氏により、液体ヘリウムによる冷却でRT特性を取得する測定系が作られた。これで安定的な冷却が可能となり、温度の測定精度や再現性め向上が期待される。 動作メカニズムに関しては、機械式冷凍機では比較的容易に動作温度を変化させられることを活かして、温度変化に対する性能の振る舞いを評価した。その結果、NbTiNを用いた格子冷却型HEBミクサ素子では、動作温度に対する受信機雑音温度の変化は、概ね古典的なHEBミクサの理論で説明できることを示した(ISSTT,新保氏による)。 比較対象として、拡散冷却型とされるNbを用いた素子でも同様の実験を行った。異なる超伝導物質で性能の振る舞いを比較することで、動作メカニズムの違いが浮き彫りになることを期待した。しかし、Nbの素子では受信機雑音温度が3000K程度と、NbTiNでは1000Kを切るのに対して、もともとの性能が悪い。さらに、動作点を調整する中で、出力が不安定で性能評価が困難となる領域があり、理論との比較を行うために十分なデータを得ることができなかった(応用物理学会秋期)。 そこで、800GHzの局部発振器2つを用いて差周波を得る実験を行った。この方法では大きな出力が得られるため、不安定な動作点でも測定が可能となる。絶対的な性能を評価することは難しいが、相対的な性能の変化を追うことができた。Nbの素子に関して、詳細な解析を進めている。 1.5THz帯の開発は、Jiang氏によって進められている。
|