2009 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ帯観測を目指した超伝導HEBミクサ受信機の開発
Project/Area Number |
08J09892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芝 祥一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テラヘルツ / 電波天文学 |
Research Abstract |
NICT(情報通信研究機構)との共同でTHz帯QCL(量子カスケードレーザ)の開発を進めた。GaAs/AlGaAsを用いた共鳴LOフォノン引き抜き型のQC構造で、3-4THzでの発振に成功している。現在はパルス駆動での動作を確認しているが、発振のしきい値電流を低減することで消費電力を抑え、連続発振を実現すべく実験を進めている。しきい値の電圧、電流密度に関しては素子の面積の大きさによる変化は少ないと考えられるため、素子の面積を縮小することによって、みかけのしきい値電流を低減できる。消費電力を1桁下げるためには20μm程度以下のメサ幅で導波路構造を形成することが必要となる。これまでウェットプロセスで行っていたメサ形成をドライエッチングで行い、微細化を達成することを目的として、ドライエッチプロセスの最適化を行った。 QCLを局部発振器として使用するには、周波数安定化が課題となる。そこに超伝導HEB(Hot-electron Bolometer)ミクサを活用することを考えており、第一歩としてQCLの出力をHEBミクサと結合して検出する実験を行った。QCLとHEBをそれぞれ別の液体ヘリウムデュワーに組み込んで冷却し、QCLの出力をHEBミクサのI-V特性の変化として検出することに成功した。両者を結合させるにあたっては、専用の結合光学系を設計・製作して用いた。本研究で用いたHEBミクサはQCLの発振周波数(3.9THz)にアンテナ特性を最適化しておらず、また、QCLの出力はデューティ比が5%のパルス発振である。このような条件ながらも、QCLの光をHEBで受けることに成功したことは意義が大きい。
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