2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類細胞の遺伝暗号拡張によるタンパク質翻訳後修飾の細胞機能解明
Project/Area Number |
08J09925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 崇人 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 翻訳後修飾 / 非天然型アミノ酸 / tRNA |
Research Abstract |
当研究では、ヒト培養細胞において、タンパク質へ部位特異的に非天然型アミノ酸を導入することにより、タンパク質翻訳後修飾をタンパク質翻訳時に導入し、翻訳後修飾の機能解析における有用なツールの開発を目的としている。特にアルギニンのシトルリン化をメインテーマとし、アセチルリジン、ニトロチロシン、スルホチロシン修飾の導入も目指している。まず、ヒト細胞において、アセチルリジンを導入する系の開発に成功して発表した。方法として、Methanosarcina mazei由来のtRNA^<Pyl>と、アセチルリジン特異的に改変されたピロリジルtRNA合成酵素ペアをヒト細胞に移植した。真核細胞の遺伝暗号拡張による翻訳後修飾導入法は、今回の成功をきっかけとして急激に発展して行くと思われる。次に、マイナーな翻訳後修飾である3-ヨード-L-チロシンの導入系の評価と応用を行った。ヨードチロシン特異的なチロシルtRNA合成酵素変異体を使用したところ、チロシンはヨードチロシンの4%以下しか導入されなかった。このシステムを用いることで、他のチロシンアナログも導入可能になると考えている。最後にシトルリンの導入系については、独立直交系のtRNA^<Arg>・ArgRS系の開発に取り組んでいる。アルギニル化反応系に関しては、分裂酵母のみ独自の進化を遂げている。そのため分裂酵母のtRNA^<Arg>・ArgRSを大腸菌に移植し、シトルリン特異的なArgRS変異体の開発を目指している。分裂酵母のtRNA^<Arg>はアンバーサプレッサーに改変すると、内在性アミノアシルtRNA合成酵素によってアミノアシル化されてしまったが、tRNA^<Arg>を塩基置換し、内在性酵素に認識されない改変体を得た。アミノアシルtRNA合成酵素のtRNA認識を改変して遺伝暗号を拡張した報告は未だなく、直交系tRNA^<Arg>の開発は重要な一歩であると考えている。
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Research Products
(2 results)