2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類細胞の遺伝暗号拡張によるタンパク質翻訳後修飾の細胞機能解明
Project/Area Number |
08J09925
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 崇人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 翻訳後修飾 / 非天然型アミノ酸 / tRNA / コドン |
Research Abstract |
タンパク質の翻訳後修飾は複数残基上に起こりうる。従来の遺伝暗号拡張法による非天然型アミノ酸導入系では、せいぜい1-2残基しか置換することができない。従って、タンパク質中の複数残基を非天然型アミノ酸に置換する技術が求められていた。 一般的に非天然型アミノ酸はUAG終止コドンに割り当てるが、ペプチド鎖解離因子との競合により、導入効率が低い。そこで大腸菌において、ペプチド鎖解離因子RF-1を除去する条件を探索し、2つの条件を見出した。1つはUAG終止コドンを持つ7つの必須遺伝子の終止コドンを同義置換すること、もう1つはUAGコドンを翻訳するtRNAであった。従って、わずか9つの点突然変異により、大腸菌のUAGコドンをセンスコドンへ再定義することができた。この株はRFzero株と命名した。RF-1が欠損してもUAGがセンスコドンとして翻訳されるため、UAG終止コドンを持っているおよそ300の遺伝子群の多くが発現し、C末端にペプチド配列が付加されながらも、機能を維持したものと考えている。 RFzero株を用いることで、3-置換チロシン、硫酸化チロシン、アセチルリジン、保護されたリジンやモノメチルリジン残基などを複数個所導入する事が可能になる。また、アジド基やアルキン基を導入する事で、様々な化学修飾を施す事ができるため、糖鎖や脂質修飾の再現なども期待される。 もう1つの論文では、本研究初年度に報告した、哺乳類細胞において効率的に非天然型アミノ酸を導入する技術が、ヒト培養細胞中における未知のタンパク質間相互作用の発見に役立った。 従って、大腸菌・ヒト培養細胞のいずれにおいても、最も実用的な系を完成させたと考えている。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Genetic incorporation of a photo-crosslinkable amino acid reveals novel protein complexes with GRB2 in mammalian cells2011
Author(s)
Hino, N., Oyama, M., Sato, A., Mukai, T., Iraha, F., Hayashi, A., Kozuka-Hata, H., Yamamoto, T., Yokoyama, S., Sakamoto, K.
-
Journal Title
Journal of Molecular Biology
Volume: 406
Pages: 343-353
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Codon reassignment in the Escherichia coli genetic code2010
Author(s)
ukai, T., Hayashi, A., Iraha, F., Sato, A., Ohtake, K., Yokoyama, S., Sakamoto, K.
-
Journal Title
Nucleic Acids Research
Volume: 38
Pages: 8188-8195
Peer Reviewed
-
-