2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の健康作りを目的とした立位歩行様受動運動の有効性と危険性に関する研究
Project/Area Number |
08J09934
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
尾方 寿好 中部大学, 生命健康科学研究所, 講師
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Keywords | 運動 / 健康 / リハビリテーション |
Research Abstract |
不随意な筋活動である痙性は、脊髄損傷者のリハビリテーションを妨げる1つの要因である。本年度は脊髄損傷者を対象とした立位歩行様受動運動に痙性を減弱させる効果があるか否かを検討することを目的とした。痙性は伸張反射応答の過剰亢進状態であるとされる。伸張反射の振幅は交感神経活動の亢進とともに低下することが動物実験から示唆されている。一方、交感神経活動が立位歩行様受動運動中にも高まる可能性があることをこれまでの研究で明らかになっているので、同運動時に伸張反射の振幅が低下する可能性がある。しかしながら、この運動中に伸張反射を測定することは困難である。そこで、本研究では脊髄損傷者を安静座位にして、交感神経活動を高めることができる皮膚冷却刺激を加えた際の伸張反射応答を検討した。もし、伸張反射の振幅が低下した場合、立位歩行様受動運動に痙性抑止効果がある可能性を言及できると考えられたためである。対象者は脊髄完全損傷者(12名)と健常者(9名)であった。右側足関節を他動的に背屈させてヒラメ筋を伸張させ、ヒラメ筋に現れる伸張反射の振幅を求めた。伸張刺激は10秒毎に与えられたが、途中、左足大腿部にアイスパックで冷却刺激を行い、伸張反射応答の振幅が変化するか否かを検討した。その結果、胸髄6番目以上損傷者(n=8)では、冷却刺激が加わると伸張反射の振幅が低下した。逆に胸髄10番目以下損傷者(n=4)では上昇する傾向にあった。健常者においても同様に上昇した。胸髄6番目以上損傷者の伸張反射の低下は、顕著な循環応答(血圧上昇、徐脈)を伴っていた。このような循環応答は交感神経活動の上昇によるものと考えられた。したがって、伸張反射の低下も交感神経活動の上昇と関連して生じていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)