2008 Fiscal Year Annual Research Report
PP2C調節物質を用いた真核細胞におけるシグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
08J09943
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
油井 信弘 Iwate University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PP2C / 活性化剤 / 阻害剤 / Pisiferdiol / Sanguinarine / アポトーシス / カルシウムシグナル伝達 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
本研究では、PP2C機能研究のためのPP2C阻害剤と活性化剤を提供すること、また、その分子メカニズムを明らかにし、真核細胞におけるPP2Cの機能を解明することを目的とした。まず、PP2Cを活性化するPisiferdiol(1)の各種ホスファターゼに対する作用と、HL60細胞に対する作用を調べた。また、化学情報基盤支援斑(班長:矢守隆夫先生)より恵与された標準阻害剤キットからSanguinarine(2)をPP2C阻害剤として見出し、そのPP2CとHL60細胞に対する作用を調べた。In vitroにおいて、(1)は、PP1、PP2A並びにPP2Bには作用せず、PP2C特異的に活性化作用を示した。一方、(2)は基質のα-Caseinに対して拮抗的にKi値=0.68μMでPP2Cαを阻害した。次に、(1)と(2)のHL60細胞に対する作用を調べたところ、IC_<50>値=18.25と0.35μMでアポトーシス誘導による細胞毒性を示した。活性化作用を示す(1)では、PP2Cαの基質で、アポトーシス誘導に関わるBadとp38を脱リン酸化した。一方、阻害活性を示す(2)はその脱リン酸化を抑制した。脱リン酸化によりBadは活性化し、リン酸化によりp38は活性化され、Badとp38に対する活性のバランスにより、それぞれがアポトーシス誘導に関わることが考えられる。さらに(1)は、カルシニューリン経路を抑制することで、カルシウムシグナル伝達に関わる遺伝子変異酵母株に対して作用していると考えられる一方で、破骨細胞の分化誘導を抑制した。今後、(1)と新たに見出した阻害剤(2)の遺伝子変異酵母株と破骨細胞に対する作用を調べることで、PP2Cとカルシウムシグナル伝達や破骨細胞分化誘導の関連性を明らかにし、PP2C調節物質を提供できると考えられる。
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