2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化を利用する新たな機能性ナノ複合材料の構築
Project/Area Number |
08J09962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 健 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自己組織化 / 結晶成長 / 無機 / 有機複合材料 / 炭酸カルシウム / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、自己組織化を利用する手法により、温和な環境下で機能性の新規無機/有機複合材料を作製することである。生体は有機高分子を利用して、炭酸カルシウムなどの結晶化を温和な環境で巧みに制御し、骨や貝殻を作り出している。これらは形状・配向の制御された無機ナノ結晶と高分子の複合体であり、精緻な階層構造とナノレベルでの無機/有機複合化により、材料としての優れた特性を示す。本研究では有機高分子の基板と水溶性高分子添加物を用いて炭酸カルシウム結晶の自己組織化を制御することで、これまで作製できなかった高次の秩序構造を合成する。同時に多様な無機物や有機物に展開し、より高機能な材料を創成することを実験計画の具体的な目標とする。 平成20年度の研究においては、ポリビニルアルコール、およびその誘導体をマトリクスに用いて炭酸カルシウムの結晶成長を行い、さまざまな秩序構造をもつ炭酸カルシウム薄膜を作製した。同時に、マトリクスにおける高分子鎖の架橋度や、高分子の配向か結晶の規則構造や多形に与える影響を調べた。さらに、架橋度をフォトパターニングによって制御したマトリクスを作製し、炭酸カルシウムの結晶成長に用いた。これにより、階層的な構造を持つ炭酸カルシウム薄膜結晶を、自己組織化プロセスを利用して作製することに成功した。以上の成果について学会発表を行い、ポスター章を受賞するなど高い評価を得た。さらに、架橋度の影響および立体的な規則構造を持つ炭酸カルシウム結晶の作製について、論文を発表した。 また、高分子マトリクスと水溶性添加物の共同効果を利用して結晶成長を制御する手法を、炭酸カルシウム以外の無機物に対して応用する結晶成長実験を行った。機能性セラミックスの構造を制御し、高機能材料を開発するための基礎的な知見を得た。
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Research Products
(5 results)