2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造酸化亜鉛を用いたポリマー太陽電池の高効率化
Project/Area Number |
08J09979
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高根澤 和子 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ構造 / 酸化亜鉛 / 電荷分離 / 電荷輸送 / 有機薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
本研究では、酸化亜鉛ナノ構造を有機薄膜中に導入し電荷輸送効率を向上させる事と、吸収波長の異なるポリマーを組み合わせる事により光吸収域を拡大し、電荷分離効率を向上させる事を目的として研究を行った。現在最も高い効率を出しているバルクヘテロジャンクション構造においては、アクセプター/ドナーの界面の面積が広くなり効率的に電荷分離が行えるようになった。しかし、ランダムな混合形態をとるため、電荷輸送には適した構造とは言えない。そのため、光吸収量を増やす為にアクティブレイヤーの膜厚を厚くすると、電荷分離後の電荷の再結合を誘発してしまい、電荷輸送効率が低下する。そこで、アクティブレイヤー中に酸化亜鉛ナノ構造を導入し、電荷輸送効率を向上させた。その結果、アクティプレイヤーの膜厚が500nm以上と非常に厚いにもかかわらず、エネルギー変換効率は疑似太陽光下において3.9%という値をしめし、電子輸送効率の良さを示すフィルファクターは65%と高い値を示した。膜厚が厚いデバイスにおいても、無機ナノ構造を導入する事により電子輸送を効率的に行える事を実験的に証明した。変換効率3.9%という値は、有機薄膜太陽電池の電子が透明電極側に流れるデバイス構造としては最も高い値である。 PCBMとP3HTを光電変換層として用いる場合、光吸収波長が350nm-650nmの範囲でしか行えないため、太陽光に豊富に含まれる近赤外域や赤外域の長波長側の光を使う事が出来なかった。そこで、PCPDTBTと呼ばれる吸収端が900nm程度にも及ぶブルーポリマーとP3HTを両方使う事により、光電変換できる光域を増やし、電流を向上させようと研究を行った。ナノ構造を導入しないフィルムでデバイスを作成し、デバイスの分光感度スペクトルを測定したところ、P3HTとPCPDTBT両方の光電変換を確認する事が出来た。疑似太陽光(100mW/cm2)においては短絡電流が12mA/cm2を超え、効率的に電荷分離を起こす事に成功した。
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Research Products
(3 results)