2010 Fiscal Year Annual Research Report
管状要素分化過程におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
08J09980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
貴舩 永津子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員
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Keywords | 管状要素 / 細胞分化 / エピジェネティック制御 |
Research Abstract |
植物は、分化全能性に代表されるように、様々な細胞が別の細胞へと分化し、新たな組織や個体をつくりだす分化の柔軟性を持つ.しかしながら、このような分化の転換を伴う細胞分化過程におけるエピジェネティック遺伝子発現制御の関与については、殆ど明らかになっていない.そこで、植物に特徴的な細胞分化の柔軟性にエピジェネティック修飾が関与している可能性について、in vitro維管束分化系を用いて細胞レベルで研究することを目的としているヒャクニチソウ単離葉肉細胞の管状要素への分化を誘道するとともに、様々な濃度やタイミングでヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を添加すると、管状要素分化が抑制されることを明らかにした.そこで、このとき遺伝子レベルでどのような変化が起こっているのかを知るためにジーンチップによる綱羅的な発現解析を行った. ヒャクニチソウジーンチップの解析結果から、オーキシン関連遺伝子やそれらと相互作用する遺伝子の発現に着目し、脱分化した細胞が維管束幹細胞としての性質を獲得する過程でこれらの遺伝子が下流の遺伝子の発現制御に関わっている可能性を見出した、これらの遺伝子のヒストン修飾を調べるために、ヒャクニチソウ培養細胞を用いたクロマチン免疫沈降法を確立し、一部の遺伝子のヒストン修飾を明らかこした. また、ウエスタン解析により、葉肉細胞から管状要素に分化転換するまでにヒストンのアセチル化・メチル化のレベルに細胞全体として変動が起きていることを明らかにした.特に、ヒストンH3のアセチル化は、葉肉細胞培養開始後12時間以内に著しくそのレベルが上昇し、12時間目以降は逆に減少していくことがわかった。このことから、葉肉細胞の分化転換の初期過程においてヒストンアセチル化が広範な遺伝子発現に関わっており、かつ12時間目以降の脱アセチル化も必要な遺伝子の発現には重要であることが示唆された.
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Research Products
(1 results)