2008 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子形燃料電池の白金触媒の劣化機構の解明と高耐食性触媒の開発
Project/Area Number |
08J10022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 優 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 白金触媒 / 腐食 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)の劣化の主要因である白金触媒の溶解に関する基礎研究として、電位サイクル下における白金の溶出に及ぼす電位範囲、電位走査速度の影響を明らかにし、電位サイクル下での白金の溶出機構を提案した。特に白金の溶出が白金の酸化物形成が始まる0.6-0.8Vより起こること、また溶出の開始に伴い、触媒にとって最も重要な電気化学活性面積が減少し始めることを明らかにした。今までPEFCの白金触媒の劣化は単セルを組んだ状態での研究が多く、劣化は試験後の触媒の電気化学活性面積の減少でしか評価されていなかったが、本研究のこの成果は今まで明らかにされていなかった白金の溶解と電気化学活性面積の関係を評価したものであり、初めて白金微粒子の溶解が触媒の劣化の主要因であることを明らかにしたことは非常に意義深い。また今までの白金の溶解に関する類似研究では1.4V以上の高電位まで電位を走査しての溶解試験を行っている場合が多く、必ずしもPEFCの白金触媒の作動環境を模擬できているわけではなかったが、本研究では初めてPEFCの白金触媒の作動環境である1.0V以下での電位サイクル中の溶解量の定量を行った。そのため本研究の成果は、今後耐久性の向上を狙ったPEFCシステムの電位制御を行うにあたって、非常に貴重な情報になったと思われる。また定電位下と電位サイクル下では白金の溶解機構が大きく異なることを示し、白金の溶解量と析出の関係を明らかにした。今後はこの析出を考慮した溶解試験を行う予定である。
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Research Products
(10 results)