2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10054
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 良太 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピロピフルオレン / ポリカーボネート / ポリエステル / ポリシップ塩基 / ポリサレン錯体 / ポリサラレン錯体 / らせん / 軸不斉分子 |
Research Abstract |
今年度は一昨年前の研究成果である、スピロビフルオレンを主鎖に含む高屈折率及び低複屈折ポリカーボネート及びポリエステルの論文を投稿した。これまで研究を続けてきたホリアリーレンエチニレンなどの一点接合型の高分子では、接合点の自由回転による構造異性化によってねじ型らせん構造とコイル型らせん構造の両方を形成してしまう。そこで今年度はより構造が明確ならせん高分子の合成を目指して二点接合のらせん高分子の合成を重点的に行った。具体的には、昨年度に合成を開始した、C_2キラルユニットに水酸基とホルミル基を導入した四官能性スピロビフルオレンを用い、スペーサーユニットに金属サレン錯体を用いるホリサレン錯体の合成を続けると共に、スペーサーユニットの接合点が反転している金属サラレン錯体スペーサーの設計と合成を行った。従来のスペーサーユニットであるサレン錯体では接合点が反転していないシン型スペーサーであるため、らせん高分子を形成した際にはねじ型らせん構造を形成する。それに対して、金属サラレン錯体では接合点が反転したアンチ型スペーサーとなり、コイル型のらせん構造を形成する。接合点が二点であるため接合点の自由回転による構造異性化が起こらない。そのため、本研究の目的である、熱的化学的に構造が安定であり、内孔に空間を持つコイル型らせん高分子の設計及び合成が可能となった。また、金属錯体の中心金属に昨年度までは亜鉛錯体を用いていたが、今年度は亜鉛錯体に加えて銅錯体を用いて同様に安定したらせん高分子が形成されることを確認した。コイル型らせん高分子はねじ型らせん高分子と同様、温度変化CDスペクトルの測定においてほとんどスペクトルの形が変化しなかったことからコイル型らせん高分子は温度変化に対して構造が安定していると考えられる。昨年度までは、主鎖の自由回転によってねじ型らせん構造とコイル型らせん構造の両方を形成していたが、今年度は同一のC_2キラルユニットを用いて、スペーサーユニットを変えることによって、ねじ型らせん構造とコイル型らせん構造を任意に作り分けることが可能である事を示した。
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Research Products
(8 results)