2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 康介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己組織化 / 中空錯体 |
Research Abstract |
(i)球状錯体内部での疎水性液滴空間の創出 本年度は、自己組織化により構築される中空球状錯体の内部空間の環境を制御することを目指した。これまでに、配位子の段階であらかじめ官能基修飾を行うことにより、自己集合後の錯体内部に位置と数を限定して官能基を導入することに成功している。そこで、柔軟で運動性の高い疎水性官能基であるアルキル基を内部空間に集積した球状錯体2a-cを構築し、疎水性の液滴状空間を錯体内に創出することに成功した。疎水性ゲスト分子であるナイルレッド(3)をゲスト分子として選択し、球状錯体内への溶解を検討したところ、球状錯体2a-cにはナイルレッドがそれぞれ2、10、12分子溶解することを確認した。また、ソルバトクロミズムを示すナイルレッドの最大吸収波長の変化から、内部のアルキル基の密度が高くなる2a<2b<2cの順に、錯体内部の疎水性が向上することが分かった。すなわち、球状錯体の内部に創出されるナノメートルサイズの溶媒空間の性質を容易に制御可能であることが明らかとなった。今後、球状錯体内へのタンパク質の内包を行う上で重要な知見であるといえる。 (ii)M6L12キューブ型錯体の構築 新規な巨大中空錯体の構築を行った。立方体型の中空錯体を構築するために、90度の折れ曲がり角度を有する配位子を新たに設計・合成した。この配位子とPd(II)イオンを2:1の比で混合し、ジメチルスルホキシド中で錯形成反応を行った。コールドスプレーイオン化法質量分析(CSI-MS)および、各種NMRによる分析の結果、M6L12組成の錯体を定量的に構築できたことを確認した。また、高エネルギー加速器研究機構において放射光を用いて単結晶X線構造解析を行ったところ、一辺3nmの立方体型の中空構造体の生成を明らかにした。
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Research Products
(3 results)