2008 Fiscal Year Annual Research Report
カイラリティの揃った単層カーボンナノチューブ単電荷結合デバイスの開発
Project/Area Number |
08J10080
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 崇史 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 共鳴トンネルトランジスタ / 単正孔トランジスタ / 熱化学気相成長(熱CVD) / 配向成長 |
Research Abstract |
当該年度の主な研究成果は、以下の2点である。 1.共鳴トンネルトランジスタ(RTT)と単正孔トランジスタ(SHT)間で特性が遷移する単層カーボンナノチューブ(SWNT)量子多機能トランジスタの開発と特性の距離依存性を測定し、素子の動作原理を詳細に調べた。 2.SiO_2基板をパターニングし、その形状に沿って単層カーボンナノチューブを成長させる新しい手法を開発。 I.の成果について、これまでにSWNTを用いて、同一のデバイスでRTTとSHTの特性を現すデバイスを開発してきた。従来、RTTは、十分に低いトンネル抵抗をチャネル両端に必要とするデバイスであり、一方、SHTは、量子抵抗よりも十分に大きなトンネル抵抗をチャネル両端に必要とするデバイスである。本研究では、SWNTとチャネル両端のソース、ドレイン電極間に形成されるショットキー障壁をトンネル障壁としている。ショットキー障壁は、ゲートバイアスによって厚さが変化し、トンネル抵抗をコントロールすることができる。ショットキー障壁厚さをコントロールすることによって、同一デバイス上で、RTT特性とSHT特性を実現できるデバイスを開発した。今年度は、このデバイスのチャネル長依存性について調べた。同一SWNT上にチャネル長を69nm〜120nmまで段階的に変えたデバイスを作製し、電気伝導特性の測定を行った。その結果、RTT特性、SHT特性ともにチャネル長に依存した特性を観察できた。この結果から、本デバイスの動作原理について考察を行っていく。 2.の結果について、これまでの熱CVD法によるSWNTデバイスの作製プロセスにおいて、SWNTは、配向成長せず、ランダムな方向への成長をすることが知られている。このSWNTのランダムな方向への成長は、多数のデバイスを作製する場合において、大きな障害となってきた。そこで、本研究では、酸化シリコン基板に電子線描画装置を用いて、溝をラインアンドスペース上に形成した。溝形成酸化シリコン基板を用いてSWNTを熱CVD法によって成長させると、SWNTが溝の角の部分に沿って成長することを発見した。このように、新規のSWNT配向成長法を開発した。
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