2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー宇宙線におけるエネルギースペクトルの精密測定とその起源の解明
Project/Area Number |
08J10092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 大輔 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科物理学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超高エネルギー宇宙線 / GZKカットオフ / テレスコープアレイ実験 / 線形加速器 |
Research Abstract |
本年度は特にTelescope Array(TA)実験の大気蛍光望遠鏡(FD)の較正を主として研究を行なった。これは本研究の最も重要な目的の一つである、超高エネルギー宇宙線のエネルギーを正確に測定するという意味において非常に重要である。TA実験のFDは、小型の線形加速水器(TA-LINAC)によるエネルギーの絶対較正法を持っているという点において、世界で最も精度の高い測定を行なうことが出来る。ただしこの加速器による較正は一括較正となるため、この較正を行なうためには望遠鏡の光学透過率やカメラの光に対する応答など、一つ一つの項目についてもきちんと測定し、検出器シミュレーションに組み込む必要があるため、これらを準備する必要がある。 まずこれまで行われてきた較正のための測定結果を元に、足りない項目を洗い出した。その結果、不十分であることが分かった測定器の温度依存性と鏡反射率の測定について、実際に測定手法を考案し、現地にて測定を行なった。その後、これらを含めた全てのFD較正値について他の共同研究者にも利用できる形にまとめ、TA実験のFDが使う最初の較正値の準備を終えた。 TA-LINACは2008年12月にKEKにおける総合ビーム試験を終え、2009年3月19日には米国の観測サイトへの設置を完了した。2009年夏までには実際にビームを大気に射出し、FDの絶対較正を開始する予定である。 並行して地表検出器(SD)とFDで同時観測されたイベント(ハイブリッドイベント)を通して両者の比較を開始した。TA実験のSDはプラスチックシンチレータで構成されており、エネルギー決定に対するモデル依存性が小さいという特徴を持つ。このSDによる結果と、小型線形加速器によって較正されたFDによる結果を比較することで、超高エネルギー宇宙線のエネルギー測定に対する系統誤差を評価することが出来る。これはTA実験における主題の一つである。この結果は、2009年7月にある宇宙線国際会議において発表する予定である。
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Research Products
(4 results)