2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10093
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相島 健助 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 線形計算 |
Research Abstract |
行列の特異値は,データマイニングなどで重要な役割を果たし,特異値計算法の確立は,科学技術計算において大きな意義がある.行列の特異値計算では,まず直交変換により上二重対角行列に変換し,この上二重対角行列に対して反復計算を行って特異値を求める.上二重対角行列の特異値を求めの有力なアルゴリズムがdqbs(differential quotient difference with shifts)法であり,世界中で広く使われている線形計算ライブリLAPACKにもDLASQルーチンという実装がある.本研究では,このdqds法の理論的収朿性を明らかにしている.本年度はdqds法において3次収束を達成するRutishauserシフトに関し,非常に重要な性質を明らかにした.数値実験を精力的に行い,詳細にデータを集めた結果,Rutishauserシフトは,反復過程において(収朿の終盤に限らず)一旦設定できれば,それ以降の反復でも常に設定できるという,理論的にも実用的にも重要な性質を有することを発見し,この現象の理論保証に成功した.一方,特異値計算アルゴリズムは固有値計算アルゴリズムと数学的に共通する性質も多いことか自,本年度は固有値計算も研究の対象とし,いくつかの重要な結果を与えた.Wilkinsonシフト付QR法の収朿性に関して完全な解析を行った.また,Wilkinson型マルチシフト付QR法の提案とその収朿性の証明を行った.この収朿定理では,現存のRayleigh商型のものとは違い,自然な収朿性が保証されており,今後,収朿速度の理論的,実験的評価においても,より優れた性能が発揮されると期待される.
|
Research Products
(5 results)