2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ元素の特性を生かしたリビングラジカル重合によるナノ構造分子の精密制御合成
Project/Area Number |
08J10106
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茅原 栄一 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | リビングラジカル重合 / ヘテロ元素化合物 / ビスマス / ラジカル反応 / 反応機構 |
Research Abstract |
リビングラジカル重合(LRP)は、分子量や分子量分布といった重合体の構造を精密に制御できる方法である、そのため、高機能性、高付加価値を持つ次世代材料の創生を狙った様々な分野での潜在的な利用が大きく広がってきている。その一方で、既存のリビングラジカル重合法において一般に重合を制御できるのは、重合度が1000程度よすなわち汎用モノマーでは分子量が10万程度までの比較的低分子量の重合体に限られている。そのためご分子量が数十万に及ぶ高分子量の重合体を制御して合成した例は少ない。しかし、高分子に特徴的な特性が発現するためには、一般に分子量が数十万必要であると考えられている。したがって、この領域の分子量を持つ重合体の構造を精密に制御する重合法の開発は極めて重要であった。 そこで、本研究では、当研究員の研究グループですでに開発した有機ビスマス化合物を用いるリビングラジカル重合をより高度に制御することを目的に、新規な有機ビスマス重合助触媒の設計と合成について研究を行った。当研究グループですでに得られている知見を基に、嵩高いアリルスルファニル基を持つビスマス化合物を助触媒として新規に開発した。そして、それを、その重合反応の助触媒として用いることで、高分子量領域まで重合反応を高度に制御することに成功した。すなわち、スチレン類、アクリレート類ではそれぞれ20万、280万程度の分子量を持つ超高分子量重合体の合成を精密に制御できた。さらには、重合反応系中における本助触媒の作用機構についても検討を行い、重合反応中で、助触媒は重合末端ラジカルと交換連鎖反応を起こす二とて、重合の制御に寄与していることを明らかにした。本研究の成果は、LRPを用いた材料設計に新しい手法を提供すると共に、高周期ヘテロ元素化合物の基礎的な反応性に重要な知見を与えるものである。
|
Research Products
(7 results)