2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ元素の特性を生かしたリビングラジカル重合によるナノ構造分子の精密制御合成
Project/Area Number |
08J10106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茅原 栄一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テルル / アンチモン / ビスマス / リビングラジカル重合 / 金属交換反応 / アニオン / 理論計算 |
Research Abstract |
ヘテロ元素-金属交換反応は炭素アニオン種を調製する手法として重要な反応である。これまで14族のスズ、16族のテルル、セレン、17族の臭素、ヨウ素などのヘテロ元素と金属との交換反応が知られている。一方、15族ヘテロ元素のアンチモン、ビスマスの金属との交換反応は報告例が極めて少なく、その反応性について十分な知見が得られていない。本研究では、アンチモンやビスマスの金属との交換反応を検討した。また本反応を、有機アンチモンやビスマス化合物を用いるリビング重合によって合成した、様々な極性官能基を持つ重合体の重合末端へ応用することで、末端変換重合体の創成についても検討を行なった。ω-重合末端にジメチルスチバニル基を有する分子量と分子量分布の制御されたポリメタクリル酸メチルに対し、n-BuLiをTHF中で作用させた後、重塩酸、二酸化炭素、塩化ベンゾイル、ベンズアルデヒド、ヨウ化アリルといった求電子剤を作用させた。その結果、いずれの場合も対応するω-末端変換重合体が選択的に得られた。さらに、ビスムタニル重合末端基を持つ重合体においても、同様の変換反応に成功した。酸性度の高い水素を有する、ポリアクリル酸エステル、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)においても、金属試薬としてt-Me4ZnLi2を用いることで、金属交換反応が官能基選択的に進行し、続く求電子剤との反応により望みの末端変換重合体が得られた。さらに、本手法を用いて、ビオチンを末端に持つ重合体の合成にも成功した。さらに、ヘテロ元素-金属交換反応におけるヘテロ元素化合物の反応性の違いを明らかにするために、競争反応を行なった。その結果、ビスマス、アンチモン化合物の反応性が、最も反応性の高いことが報告されていたテルル、ヨウ素化合物よりも高いことが分かった。このビスマス、アンチモン化合物の高い反応性が、本変換反応における高い官能基選択性の起源であることが分かった。
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Research Products
(11 results)