2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト共産主義の政治空間:ソ連解体後のロシアにおける政党組織の全国化過程を中心に
Project/Area Number |
08J10144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
油本 真理 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロシア / 地方政治 / 政党制 / ポスト共産主義 |
Research Abstract |
初年度は、昨年度にまとめた研究の改訂・公刊作業と、次の研究課題への取り組み、の二本柱で研究を進めた。まず、第一の柱の成果として、2008年12月に論文「ポスト共産主義ロシアにおける「与党」の起源-「権力党」概念を手がかりとして-」が『国家学会雑誌』第121巻・第11・12号に掲載され、ソ連解体後のロシアにおける政党政治の変遷に関し、ロシアでよく用いられてきた「権力党」という言葉を分析することにより、ソ連共産党の消滅から「統一ロシア」党登場までの過程を説明する大まかな見取り図を提示した。その作業と並行し、第二の柱にかかわるものとして、これまでエリート中心に分析が行なわれることの多かったロシアの政党論に、選挙民の支持・不支持という要素をいかにして組み入れるかという研究課題に取り組み始めた。この新たな研究課題の初歩的成果として、2009年2月5、6日に北海道大学で開催されたスラブ・ユーラシア研究東アジア学会において、"The Partial Federalization of United Russia in the Putin Era:The Case of Khabarovsk Krai under the Monetization of L'goty"と題した報告を行なった。当該報告は、政府と選挙民の関係が専ら行政資源の利用に基づく選挙動員に結び付けられる傾向にある「政府党」の議論ではあまり焦点が当てられてこなかった「住民の生活に責任を負うサービス提供者としての連邦/地方政府」と「行政サービスの受益者としての一般住民(選挙民)」の関係についての考察を試みたものである。その後、2009年3月後半にはロシア連邦ハバロフスク地方に赴き、ハバロフスク市・周辺の地区中心都市においてインタビューなどの現地調査を行うとともに、今後の研究を進めていく上で必要となる資料を収集した。
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