2009 Fiscal Year Annual Research Report
底泥の毒性要因特定手法の改良と底質汚染への適用及び結果の生態毒性評価
Project/Area Number |
08J10156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 春奈 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 底泥 / 毒性要因特定(TIE) / 底質毒性試験 / カイミジンコ / ニホンドロソコエビ |
Research Abstract |
底泥の主要毒性要因を特定するWhole-sediment TIEにおいて、有害化学物質分画手法である吸着剤添加法の改良実験を行った成果を踏まえ、カイミジンコ底質毒性試験を用い、汚染形態の異なる複数の都市河川底泥に対して新たに毒性要因の推定を試みた。まずBaselineの毒性を確認した結果、3箇所の都市河川底泥がカイミジンコに対し有意な致死毒性を示したが、人工海水を用いた塩分の毒性応答試験により、これらの致死毒性は底泥から溶出した塩分によって、ある程度説明できることが分かった。よって、今後は塩分濃度がNOLC(無致死濃度)の0.34%を超える場合は、毒性要因として塩分を考慮し、併せて汽水域・海域生息のヨコエビを用いた毒性試験を実施する。 汽水域・海域生息のヨコエビとしては、国内種であるニホンドロソコエビを選択し、2009年5月に東京湾三番瀬より採取し実験室での飼育を開始した。これを用いてUS・EPAのガイドラインに基づくヨコエビ底質毒性試験の立ち上げを行った。K_2Cr_2O_7を用いたPositive control試験により、ヨコエビへのLC_<50>はカイミジンコの約8倍であり、K_2Cr_2O_7に対する感受性はヨコエビの方がやや低いことが分かつた。また、都内河川底泥を用いた底質毒性試験の比較においても、カイミジンコに対して高い致死毒性を示した底泥でも、ヨコエビに対しては致死毒性を示さなかった。したがって今後、底質毒性の地点間比較や、TIEにおいて前処理方法の異なる底質試料間の比較を有効に行えるように、ヨコエビ底質毒性試験において成長阻害率など致死率より感度の高い指標を導入する必要があると考えられる。また、ヨコエビは共食い等の影響によって、Negative control系の致死率が試験要件である10%以下を満たさない場合があり、飼育状態や実験操作の改善、粒径や有機物量を考慮したControl底泥の再検討などの課題が得られた。
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Research Products
(4 results)