2008 Fiscal Year Annual Research Report
減数第一分裂における染色体の還元分配を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
08J10167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚原 達也 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 染色体分配 / セントロメア / シュゴシン / CDK |
Research Abstract |
真核細胞は、細胞分裂の際に姉妹染色分体を正確に分配することで増殖する。この際、染色体とスピンドル微小管との間に誤った結合を生じることがあり、誤った結合を生じたまま分裂後期に移行すると染色体分配のミスが生じる可能性が高まり、癌化や細胞死の原因となってしまう。このため、細胞は染色体とスピンドルとの間の誤った結合を修正する機能を持っている。この修正の機能は、分裂期においてセントロメアに局在するChromosome Passenger Complex(CPC)により担われることが明らかになっている。今年度私たちは、分裂酵母において、Cyclin Dependent Kinase(CDK)によりCPCのサブユニットBirlがリン酸化されること、非リン酸化型変異のBirl-8AがCPCのセントロメア局在に必要なシュゴシン(Sgo2)との相互作用できないこと、セントロメアにほとんど局在できず染色体分配に異常を示すことを明らかにした。これらの表現型はリン酸化模造型変異のBirl-8Dでは観察されなかったことから、Birlのリン酸化がCPCのセントロメア局在に重要であることが示唆された。さらに、ヒト培養細胞を用いた解析から、BorealinというCPCのサブユニットに対するCDKのリン酸化がシュゴシン(hSgol)との相互作用及びBorealinのセントロメア局在に重要であるという結果を得た。本研究は、正確な染色体分配に必須の機能を果たすCPCのセントロメア局在化に重要な制御機構の一つを明らかにするとともに、同じく染色体分配に必須であるシュゴシンとCPCとの相互作用の制御機構を明らかにしたという意味で大きな意義があると考えられる。また、細胞周期の進行に必須の役割を果たすCDKが、CPCのセントロメア局在化制御を介して染色体分配という重要な現象に関与することを示すという意味でも重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)