2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会性アブラムシにおける階級分化の制御機構と進化的起源の解明
Project/Area Number |
08J10171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 圭吾 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会性昆虫 / アブラムシ / 兵隊階級 / ゴール / 真社会性 / カースト |
Research Abstract |
本研究課題では、社会性アブラムシにおける階級分化の制御機構を明らかにし、その後階級分化の進化機構を明らかにすることを目的とする。 21年度は、兵隊カーストの形態的分化の程度が異なるColophina属の4種を用いて、1. 1次宿主(ケヤキ上のゴール)の幼虫、2. 2次宿主(クレマチス)上の兵隊、3. クレマチス上の幼虫において外部形態を測定し、分子系統樹に基づいて種間比較を行った。その結果、防衛に特化した兵隊を持つ種(クサボタンワタムシ・ボタンヅルワタムシ)では、ケヤキ幼虫とクレマチス兵隊の攻撃に関わる形質(脚・口吻の長さ)に関して、両者に正の相関が見られた。さらに、分子系統樹上で祖先的な状態に近い場所に位置する種(センニンソウワタムシ)では、ケヤキ幼虫とクレマチス兵隊は攻撃形質の相関を持つだけでなく、触角の長さ・角状管の有無などの分類形質について、分類学的には判別できないほど形態的に酷似していたことから、1次宿主の幼虫と兵隊の両方に共通の遺伝子群を発現させる事により酷似した表現型を生じることが示唆された。 また今年度は、イスノキにゴールを形成する社会性アブラムシであるヨシノミヤアブラムシの生活史を野外観察および飼育実験により明らかにした。野外観察から、ヨシノミヤアブラムシのゴールは越冬した創設個体から4,月に形成され、次年度の6月頃までゴールが継続することが明らかになった。また、切断したゴール内での飼育実験の結果、創設個体から生まれた無翅成虫は繁殖を終えた後も1ヶ月程度生き続けることが明らかになった。研究成果は国際アブラムシ学会(イタリア)などで発表をおこなった。
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Research Products
(4 results)