2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 将央 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河形成 / 銀河進化 / 高赤方偏移 / 星形成率 / 金属量 |
Research Abstract |
この研究の目的は、赤方偏移が2の時代に存在する銀河の性質を詳細に調べ、銀河の形成と進化の過程を明らかにすることである。最近の研究から、宇宙の星形成活動は赤方偏移が1から2という時代(約80-100億年前)に最も活発であったことが分かってきている。銀河に存在する星の多くが作られ、銀河の形態が激しく変化しているこの時代は、現在の宇宙に見られる銀河がどのように形成され進化してきたかを理解する上で非常に重要である。 我々は、すばる望遠鏡を用いて、「すばるディープフィールド」の赤方偏移2にいる銀河の近赤外線分光観測を行った。そして、その輝線スペクトルから、銀河の星形成率や銀河の星間ガスの金属量(重元素量)を調べた。 輝線の強度から、銀河の星形成活動の活発さ(星形成率)を知ることができる。また、星間ガスから作られた恒星が一生を終えて爆発するたびに、恒星内部で作られた重元素は再び星間ガスへばらまかれ、星間ガスの金属量は増加する。つまり、銀河の星間ガスの金属量は銀河の進化段階を知ることのできる指標の一つである。 星形成率は恒星質量の大きな銀河ほど高いが、この星形成率の増加率は星質量の変化と比べて緩やかであることがわかった。そのため、単位恒星質量あたりの星形成率は恒星質量の大きな銀河ほど逆に小さくなる。この関係は、恒星質量の小さな銀河ほど質量成長が大きいことを示唆する。さらに、恒星質量が大きくなるほど、銀河の星間ガスの金属量(酸素の量)が大きくなるという関係が得られた。この相関関係はほぼ同じ時代の銀河を調べた先行研究と一致する。しかし、同じ恒星質量の銀河を比較したとき、先行研究と比べて我々の調べた銀河のほうが、平均して0.2dexほど金属量が大きい。我々の銀河の方が赤いカラーを持つことから、赤方偏移2の銀河の恒星質量と金属量の関係にはカラー依存性があることが示唆される。
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Research Products
(4 results)