2008 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子Dec1依存型の新規リズムリセットを導くTGF-β/activin
Project/Area Number |
08J10225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 尚宏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日時計 / TGF-beta / Activin / SMA / Dec1 |
Research Abstract |
我々の全身の細胞には概日時計が存在し、非常に多くの生理機能をコントロールしている。概日時計の重要な特性として、細胞外シグナルを利用して時刻調節を行う入力系を持つことがあげられる。しかしながら、末梢組織の概日時計の時刻が調節されるメカニズムは謎に包まれていた。この課題にアプローチするために私は、培養細胞にも時計が存在することに着目し、時計の時刻を変える(リセット)因子を探索した。その結果、TGF-betaあるいはアクチビンというタンパク質因子の投与が細胞時計の時刻をリセットすることを見出した。さらに、これらの因子による時計リセットには、Dec1遺伝子の急性誘導という全く新しい分子機構が重要であることがわかった。加えて、これらの因子によるDec1の誘導には、Type I TGF-beta受容体キナーゼ(ALK5)によるリン酸化を介した転写因子SMAD3の活性化と、それに続くSMAD3/4のDec1遺伝子上流への結合が重要であることがわかった。次に私は、これらの薬物の投与によって生きた動物個体の体内時計の時刻を変化させることが可能かどうかを検証した。マウス腹腔内へのTGF-beta投与は、腎臓や副腎などの組織において、Dec1の転写を誘導し、末梢時計の時刻変化を引き起こした。解決すべき重要な課題として、このTGF-betaによる組織時計リセットにおいてDec1が重要であるかどうかということである。そのために私は、Dec1欠損マウスを入手、繁殖し、検証行った。その結果、重要なことに、TGF-beta投与による時刻変化はDec1欠損マウスでは観察されないことから、生体内においてもTGF-beta-Dec1経路が末梢時計の入力経路として重要であることがわかった。これらの研究成果は私を筆頭著者とする英文論文として2008年12月にNature Cell Biology誌に掲載された。
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Research Products
(4 results)