2008 Fiscal Year Annual Research Report
左右半球の独立した処理資源を前提とした選択的注意に関する認知心理学的研究
Project/Area Number |
08J10240
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
西村 律子 Aichi Shukutoku University, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラテラリティ / 選択的注意 / 注意の負荷理論 / 処理資源 / 適合性効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,Lavie(1995)によって提唱された「注意の負荷理論」に対して,ラテラリティ研究が主張してきた左右各半球が保持する独立した処理資源の視点を加えることによって,非注意刺激の選択的注意システムに迫ることであった。しかしながら,これまで非注意刺激の処理過程に注目した選択的注意研究は,処理資源を単一のものとして捉え議論を進めてきた。そこで,本研究では左右各半球が独立した処理資源を保持することを前提とし,左右各半球に異なる課題負荷を課す実験パラダイムを考案し,非注意刺激が入力される半球の課題負荷の高低に応じて非注意刺激に対する選択的注意は変動するのか否かを検討した。その結果,刺激画面全体の課題負荷はすべての条件間で一定(刺激画面上に呈示された刺激個数が一定)であったにもかかわらず,非注意刺激が高負荷視野(半球)に呈示された条件で,低負荷視野(半球)に呈示された条件では生じていた適合性効果が消失することが明らかとなった。つまり,非注意刺激の選択的注意は入力される半球に課せられた課題負荷に応じて決定されることが示唆された。本研究で実施された実験では刺激呈示画面全体の課題負荷が実験条件間で一定であった。そのため,Lavieの負荷理論に依拠すれば適合性効果量は非注意刺激の呈示視野(半球)にかかわらず同程度確認されると予測された。しかしながら,その予測に反し非注意刺激が入力される半球の課題負荷に依存して適合性効果量が変動することが示されたことは,非注意刺激の選択的注意が左右各半球に課せられた課題負荷に影響を受けることを明らかにし,選択的注意研究に対して,ラテラリティの視点を加えることの重要性を示唆できたと考える。
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Research Products
(7 results)