2009 Fiscal Year Annual Research Report
左右半球の独立した処理資源を前提とした選択的注意に関する認知心理学的研究
Project/Area Number |
08J10240
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
西村 律子 Aichi Shukutoku University, コミュニケーション研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ラテラリティ / 選択的注意 / 注意の負荷理論 / 処理資源 / 非注意刺激 |
Research Abstract |
本研究の目的は各半球の処理資源の多寡が選択的注意に及ぼす影響を検討することであった。これまでのラテラリティ研究から,左右各半球は独立した処理資源を保持することが主張されている(Friedman & Polson,1981)。この知見を前提とし,近年発表された選択的注意に関する注意の負荷理論(Lavie,2005)を再考することによって,刺激が両半球に分割呈示された状況での選択的注意の変動を予測した。本研究では"ディストラクターは相対的に負荷の低い半球で処理される"という新たな作業仮説を導出し,その検討をおこなった。初年度に上記の目的に基づいて,4つの実験を実施し,データを収集することができた。そこで本年度は,初年度実施された実験データをまとめることによって,非注意刺激の選択的注意に関するモデルを提唱した。このモデルでは,非注意刺激は2段階の選択機構を通じて意味処理を受けるか否かが決定されるが,その2段階の選択機構が左右各半球で独立,並列的に行われることを提唱した。これまで,非注意刺激の選択的注意に関してはいくつかのモデルが提唱されていたものの,左右各半球が独立,並列的な選択機構を保持することを明らか旨にしたモデルは存在していない。つまり,非注意刺激の選択過程についてラテラリティの視点から検討したことによって,選択的注意研究に新たな知見を供給できたことは意義深いと考えられる。また,このモデルは博士学位論文として認められた。さらに,初年度に実施した実験は,2つの海外雑誌に投稿され,そのうち1本は受理され掲載された。
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