2008 Fiscal Year Annual Research Report
倍数性コムギの生殖成長過程における同祖遺伝子の機能分化
Project/Area Number |
08J10263
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
漆川 直希 Fukui Prefectural University, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 倍数性 / Triticum / MADS / 生殖成長 / 同祖遺伝子 |
Research Abstract |
当初の研究計画にあったように、祖先種および合成コムギを用いたWLHS1同祖遺伝子の発現解析、メチル化解析を順調に進めることが出来た。その結果、WLSH1に関しては機能的な同祖遺伝子が1コピーとなるような未知の計数機構が働き、しかもどの同祖遺伝子が機能的アリルとして選択されるかには優先順位があることを示唆するデータが集積されてきた。この成果は、これまで現象の理解に留まっていた同祖遺伝子の相互作用メカニズムを解明するための手がかりとなるだろう。 さらに、WAP3についても予定通りコムギ形質転換体の作出に成功しており、(1)転写バリアントであるWAP3sがWAP3と同様なタンパク質機能を有する、(2)WAP3とWAP3sの転写制御システムは独立しており、WAP3がリンピおよび雄ずいで発現するのに対して、WAP3sはリンピ特異的に高い発現ことが示された。さらに、WAP3解析の過程で、Aゲノム同祖遺伝子のみが、不完全なmRNAを形成しながら変異を蓄積していることが明らかになった。これは同祖遺伝子の一つが徐々に機能を失っていく変遷過程にあると考えられた。これはWLHS1のAゲノム同祖遺伝子がダイナミックな構造変化によって一度に機能を失ったことと対照的であり、同祖遺伝子の分化の多様性を示すデータである。 一連の研究の中で、特にWLSH1解析で示唆された計数機構は、「研究の目的」で掲げていた目標である倍数種に特有なゲノム制御システムの解明につながる成果が得られており、その意義は大きいと考える。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] A genetic network of flowering time genes in wheat leaves, in which an APETALA1/FRUITFULL-like gene, VRN1, is upstream of FLOWERING LOCUS T2009
Author(s)
Shimada S., Ogawa T., Kitagawa S., Suzuki T., Ikari C., Shitsukawa N., Abe T., Kawahigashi H., Kikuchi R., Handa H., Murai K.
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Journal Title
Peer Reviewed