2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規多機能不斉触媒反応を基軸とした抗HIVリード薬の探索研究
Project/Area Number |
08J10264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三原 久史 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | HIVプロテアーゼ阻害剤 / 収束的不斉合成 / 不斉マイケル反応 / 触媒コントローレ |
Research Abstract |
現在、薬物治療において多剤耐性ウイルスの克服は大きな課題となっている。GRL-06579AはHIVプロテアーゼ阻害作用を持ち、多剤耐性HIVにも強力な活性を維持する有力な医薬品リード化合物であり、高い注目を集めている。この化合物中には、特異なキラル二環性複素環が存在する。既存の合成法においては、その不斉炭素は酵素による光学分割によって構築されているが、原料が高価であるため大量合成に向けてさらなる改良が必要である。そこで私は当研究室で開発された多機能複合金属触媒を用いることで安価な原料を用いた効率的な合成を目指し、研究に着手した。GRL-06579A中の不斉炭素を効率的に構築するため、GRL-06579AをA部二環性化合物とB部アミノアルコールに分割した。 初めにA部二環性化合物の不斉炭素を構築するべく(R)-ALBを用い触媒的速度論分割法と触媒コントロールによる不斉マイケル反応を組み合わせることで、通常の触媒的速度論分割法で最大50%である本化合物の不斉炭素の構築を最大70%にまで向上させることに成功した。得られた重要合成中間体のさらなる官能基変換を行い、環化前駆体へと導いた。さらにDBUで処理したところTBSO基のβ脱離と続くオキシマイケル反応が進行し、ワンポットで二環性化合物を得ることに成功した。続いてB部の合成に着手した。キラルアルデヒドに対して5mol%の(R)-LLB存在下、ニトロメタンを加え-40℃で反応を行うことで望みの立体を有するアミノアルコールを93:7の比率で得ることが出来た。最後に合成したA部二環性化合物とB部アミノアルコールを縮合させGRL-06579Aの収束的不斉合成を達成した。本合成法は既存の合成法と比較し、その不斉炭素を効率よく合成することが出来きたと言える。
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Research Products
(2 results)