2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 繁 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 百済 / 新羅 / 木簡 / 金石文 / 出土文字資料 / 出挙 / 文字文化 |
Research Abstract |
本研究は、韓国で出土した古代の木簡を検討することで、新羅の地方社会の実態を明らかにし、朝鮮の古代国家の特質に迫ることを目的としている。内容が断片的で難解な韓国木簡を理解するために、同時代の金石文や、高麗・朝鮮時代の古文書、日本で出土した木簡との比較検討を行なう。 本年度は、まず、統一新羅時代の金石文である開仙寺石燈の現地調査をおこない、どのような場所に設置されたのか、また文字をどのように刻んでいるかを確認した。 国立扶余博物館において双北里から出土した木簡の調査をおこなった。その結果、六月に官人たちに穀物を貸出し、秋の収穫後に利子を付けて回収した出納の状況を記録した木簡であることが分かった。これは古代日本における出挙制度と極めて類似した制度であり、百済においてこのような制度が存在していたことを示す初めての資料である。百済の社会・経済の実態を明らかにするための貴重な発見であるとともに、書式や用語などが日本の出挙木簡と共通することから、百済の文字文化、行政システムが古代日本に与えた影響が明らかとなった。 また、百済や新羅の王京で出土した木簡と日本の木簡との比較を行なう基礎的作業として奈良文化財研究所において平城京で出土した木簡を調査した。
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Research Products
(2 results)