2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 繁 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 新羅 / 木簡 / 金石文 / 出土文字資料 / 古代 |
Research Abstract |
本研究は、朝鮮半島の古代国家の特質に迫るために、主として韓国で出土した木簡を検討対象として、新羅の地方社会の実態を明らかにすることを目的としている。 本年度は、まず韓国出土木簡の比較資料となる新羅金石文の調査をおこなった。 城山山城木簡とほぼ同時期とされている丹陽赤城碑の調査を現地でおこない、釈文を再検討するとともに、立碑地域が河川に面した交通の要衝にあることを確認した。国立慶州博物館では、南山新城碑を中心に所蔵されている新羅金石文の調査を実施した。南山新城碑は、王京で山城を築く際に地方から民を徴発したことを物語る碑石であり、同じく山城を築く際に使用した穀物を輸送するためにつけられた荷札である城山山城木簡の比較資料になる。 また、木簡そのものの研究として、まず韓国出土木簡の約半分を占める城山山城木簡の詳細な表面観察をもとに、木簡の製作技法を復元した。その結果、大部分の木簡は、細いマツの枝を縦に割って作成していることが分かった。これは、中国や日本の木簡とは異なる技法であり、韓国木簡の特色を明らかにするための手がかりになると考えられる。今後、他の新羅木簡や百済木簡の調査を積み重ねることで、より韓国木簡の特色を明らかにしうると期待される。 国立扶余博物館で開催された「木の中の暗号 木簡」特別展において、これまで韓国で出土した木簡を観覧した。また同時に開催された「古代の木簡、そして山城」に参加し、近年の韓国木簡の調査・研究の成果を学び、資料を入手した。
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Research Products
(5 results)