2008 Fiscal Year Annual Research Report
C60封入グラファイトの摩擦力と封入されたC60分子の分子運動
Project/Area Number |
08J10282
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
細見 斉子 Aichi University of Education, 教育学部, 特別研究員PD
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Keywords | 超潤滑 / 摩擦 / フラーレン分子 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本申請課題は,サッカーボール状のフラーレン分子であるC_<60>の単分子膜をグラファイト基板とグラファイトシートの間の動摩擦力(平均摩擦力)がほぼゼロである超潤滑となることが見出されたことにより開始された.本研究の目的は,超潤滑の発現のメカニズムを明らかにすることである.特に,試料中においてはC_<60>分子の分子回転運動が,超潤滑メカニズムにおける重要な鍵となると考えられる.本研究には,物性測定に用いることのできる構造の安定したフィルムが必要であった.そこではじめに,n-オクチルアミンという架橋物質を用いることにより,安定したグラフェンシート間隔をもつC_<60>分子封入多層フィルムの作製に成功した.本年度はこの作製された多層フィルムを中心に,原子間力顕微鏡(AFM)を用いて,グラファイト系基板の摩擦特性をナノニュートン(nN)レベルで調べてきた.その結果,荷重150nN以下の条件では,格子間隔が1.5nm程度の周期像が観測し,作製した試料内ではグラファイトシート間でC_<60>分子が規則的に配列していることを確認した.また,そのときの動摩擦力(平均摩擦力)は,本測定精度ぎりぎりの1nN以下という非常に小さな値を維持した.現在さらに既存の測定装置に慣性駆動式のローテーターを取り付け,摩擦力の方位依存性を調べているが,測定の精度では方位依存性は確認されていない.今後,原子間力顕微鏡(AFM)と水晶マイクロバランス(QCM)を組み合わせた新たな装置の開発によって動摩擦によるエネルギー散逸を直接測定することを計画している.
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Research Products
(7 results)