2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌倉 真音 The University of Tokyo, 大学院・学際情報学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 文化資源 / 3次元デジタルデータ / デジタルデータの利活用 / 仮想修復 / デジタルコンテンツ |
Research Abstract |
特に有形文化資源の3次元デジタルデータの取得とそのデータの活用に関して,考古学,美術史学,建築史学,教育などの多岐に渡る分野への応用展開を具体的な解析などを通して遂行した.以下のような,主に3種類の具体的な研究を行った.(1)カンボジア・アンコール遺跡バイヨン寺院の尊顔に関して,寺院の大きな特徴である尊顔の3次元デジタルモデルを用いた解析による考古学的考察を行ってきたが,それに加えて,崩壊により落石した,以前尊顔の一部であったと思われる散乱石材を収集し,3次元デジタルデータを取得した.このデータ取得のために合計30日間カンボジアに渡航し,60個分の石材データを取得した.取得したデータはデータ処理の後,仮想修復を行う予定である.(2)古代ローマ彫像に関して,イタリア・ナポリ博物館にて取得した3次元デジタルデータを用いた解析を行った,古代ローマ期の彫像制作方法が,型を用いた量産体制であったという仮説に対して,3次元データによる類似度解析によりその制作背景を探り,類似度の高いいくつかの彫像の部分形状を抽出した.また,彫像の事後修復の可能性箇所の検出も行った.このほか,(3)3次元デジタルデータの教育への利用として,著名な美術品であるロダンの「考える人」のデジタルモデルを用いたデジタルコンテンツ作成実習を行う授業(対象:学部1,2年生)での3次元モデル使用の教育的効果の測定を行った.特に,人間の幾何形状などに対する空間把握能力に関する点に対するアンケート調査を行い,現在,結果を考察中である.
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