2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10324
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌倉 真音 The University of Tokyo, 大学院・学際情報学府, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 文化資源 / 3次元デジタルデータ / デジタルデータの利活用 / デジタルコンテンツ / 教育 / ビジュアリゼーション / 仮想修復 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、特に有形文化資源のデジタルデータの利活用に関して、考古学、美術史学、建築史学、教育などの多岐にわたる多分野・他分野への応用展開として、具体的な解析や活動を通して遂行した。主に、以下の3種類の具体的な研究を行った。(1)カンボジア、アンコール遺跡バイヨン寺院の大きな特徴である尊顔に関して、3次元デジタルアーカイブデータを用いた解析による考古学的考察を行った。12世紀に寺院を建立したとされる王(ジャヤヴァルマンVII)の坐像の頭部顔面デジタルデータと寺院尊顔の類似度等を検証する解析を行っている。本研究は、カンボジア・アンコール期の寺院建立の歴史等を明らかとし、多分野横断型研究の結果として極めて重要なものである。(2)3次元デジタルデータの教育への利活用として、著名な美術品であるロダン作「考える人」のデジタルモデルを用いたデジタルコンテンツ制作実習を含む授業(対象:学部1、2年生)での3次元モデル使用の教育的効果の測定を行った。特に、人間の幾何形状などに対する空間把握能力に関するアンケート調査、授業の感想を含むコンテンツ制作による学生の変化や効果を探るアンケート調査を行い、現在、結果を考察中である。(3)写真や図面、あるいは人の想像などをもとに文化資源の3次元デジタルデータによる可視化を試みている。本研究では、現存しないものや欠損した部位等をビジュアル化し、デジタルデータとして保存・活用する。この研究により、文化資源における保存・デジタルデータ化・利活用に関する俯瞰的な考察、文化資源を基軸とする多分野にわたる研究領域での具体的研究の知見の両方向からの視点を取得する重要なテーマであり、英国King's College Londonにて行っている。なお、本研究は日本学術振興会の優秀若手研究者海外派遣事業に採択され、行っているものである。
|