2010 Fiscal Year Annual Research Report
完新世初頭極東アジア有舌尖頭器の比較文化史研究:石器づくりの実験考古学の実践から
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08J10328
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
長井 謙治 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 押圧剥離技術 / 有舌尖頭器 / 実験考古学 / 石器づくり / フォルサム/クローヴィス / 済州島 / 米国 / 旧石器 |
Research Abstract |
平成22年度の研究拠点は、(1)素材整形用押圧剥離技術の復元的製作実験研究、(2)韓半島における尖頭器製作の基礎的研究を行うことであった。素材整形用押圧剥離技術の復元的製作実験研究に関しては、前年度に継続して国士舘大学イラク古代文化研究所・ものづくりワークショップ(代表:申請者)による活動を拠点にした(開催平成22年12月)。京都造形芸術大学の学生と共に技量差に伴う属性変化の確認作業を行った。その成果は近日中に査読付学会シンポジウムで発表予定である。併せて極東アジアにおける有舌尖頭器の比較研究の一環として、韓半島及び北米大陸の尖頭器群の資料調査研究を行った。7月、フォルサム/クローヴィス型尖頭器の調査研究を目的に米国渡航を果たした。ミシガン大学考古学博物館が所蔵するラビット遺跡出土尖頭器の切り合い分析を行った。さらに、ニューヨーク州ランプ遺跡、ミシガン州ゲイニー遺跡、クロウフォード遺跡など、カナダの一部の資料についても押圧剥離技術の分析を行った。この調査研究を通して、完新世初頭における環太平洋沿岸域の剥離順位データが複数獲得できた。さらに4月、韓国済州島の尖頭器研究を行った。済州文化遺産研究院、国立済州博物館等が所蔵する高山里遺跡、梧登洞遺跡、江汀洞遺跡の石器製作技術の研究を行って、申請研究に関連する更新世末期の韓半島資料の追加した。高山里文化の右肩上がりの押圧剥離技術が、日本列島の縄文時代草創期に顕在化した正位の石器扱いと何らかの関わりをもっていた可能性が明らかになった。こうした成果は速報として既に論文集に発表しており、本年度に査読付き学会でもポスター発表する予定である。本年度に追加された韓国・カナダ・北米のデータは、将来統合して研究発表する予定である。
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Research Products
(3 results)