2008 Fiscal Year Annual Research Report
完新世初頭極東アジア有舌尖頭器の比較文化史研究:石器づくりの実験考古学の実践から
Project/Area Number |
08J10328
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
長井 謙治 Kokushikan University, イラク古代文化研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 押圧剥離技術 / 有舌尖頭器 / 実験考古学 / 石器づくり / 細石刃 / 剥離技術 / 身ぶり / 縄文時代のはじまり |
Research Abstract |
平成20年度の研究拠点は、(1)押圧剥離技術の復元的製作実験研究、(2)日本列島における有舌尖頭器の体系的研究を行うことであった。押圧剥離技術の復元的製作実験研究に関しては、国士舘大学イラク古代文化研究所・石器製作ワークショップ(代表:申請者)による活動を拠点に実施した。平成20年8月から開始した同ワークショップは、石器製作の技術的側面に関わる中範囲理論の構築を目的として、これまでに8回を重ねている。これまで、同ワークショップにおいては、東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学・国学院大學他の大学院生との議論を重ねながら、押圧剥離細石刃剥離の復元的研究、剥離物の飛散実験研究及びそのパリンプセストの確認作業を行ってきた。押圧剥離細石刃剥離の復元的研究は申請者個人で行われているが、その成果として遺物解釈に有用なデータが得られている。実験結果、およびシリアのテル・セクル・アル・アヘイマル遺跡出土資料との対比が終了しており、更新世/完新世移行期における細石刃の剥離技術と身ぶりの解釈に寄与するデータが得られている。同時に、日本列島における有舌尖頭器の体系的研究の一環として、平成20年3月に東京大学大学院新領域創成科学研究科に提出した博士学位論文の単著執筆・刊行を果たしている(『石器づくりの考古学-実験考古学と縄文時代のはじまり-』同成社)。本作業を通して、日本列島のみならず極東アジアの有舌尖頭器と一部の関連資料に関する網羅的集成・整備が果たされ、申請研究に必要な基礎的資料が得られた。
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Research Products
(3 results)