2008 Fiscal Year Annual Research Report
ボロン膜中に照射された高エネルギー水素同位体の滞留挙動及び化学状態の解明
Project/Area Number |
08J10337
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉河 朗 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トリチウム / ボロニゼーション / D-T核融合反応 / XPS / TDS / P-CVD / 酸化ホウ素および炭化ホウ素 |
Research Abstract |
本研究では、D-T核融合炉内において壁コンディショニング材として検討されているボロン膜において、酸素や炭素を容易に捕捉することに着目し、トリチウム使用の安全性の観点から、ボロン膜中におけるトリチウムの滞留挙動に及ぼす炭素或いは不純物含有効果について研究を行ってきた。本研究では、トリチウムの同位体である重水素を使用し、酸素或いは炭素を含有したボロン膜に高エネルギーの重水素イオン(1.0keV D_2^+)を照射し、膜中の重水素の捕捉および脱捕捉過程について、XPS(X線光電子分光法)およびTDS(昇温脱離法)を用いて、定性的かつ定量的な解明を行った。その結果、酸素や炭素を介した各捕捉サイトへの重水素の優先的な捕捉が確認され、特に炭素含有ボロンにおいては、1.0×10^<22>D^+m^<-2>での照射時において、ホウ素による捕捉の約4倍量以上の重水素の捕捉が確認された。以上の結果は、膜中に照射した重水素イオンはイオンの状態で拡散および捕捉することが予想されたため、照射された重水素イオンは、ホウ素と比較して電気陰性度の高い酸素や炭素に容易に引き付けられたことが考えられた。また、膜中の重水素の脱捕捉過程について活性化エネルギーを算出したところ、酸素や炭素によって捕捉された重水素の脱離に関する活性化エネルギーは、ホウ素によって捕捉された重水素のそれらよりも高いことがわかった。以上より、酸素や炭素によって捕捉された重水素はホウ素によって捕捉されたサイトと比較し、より深いポテンシャルの谷への落ち込みが考えられた。また、各試料における活性化エネルギー値の変化を決定付けたものとしては、律速過程である脱捕捉に起因することがわかった。また、以上の結果を用いて、酸素或いは炭素含有ボロン膜に照射した高エネルギー水素同位体の捕捉から脱捕捉までの一連の過程についてモデル化を行った。
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Research Products
(3 results)