2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 秀顕 The University of Tokyo, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 貴金属 / リサイクル / 湿式プロセス / 電気化学 |
Research Abstract |
貴金属のリサイクルにおいて,貴金属を水溶液中へ溶解する工程は不可欠である.このとき,化学的に安定な貴金属を溶解するためには強力な酸化剤や錯化剤などの薬品を利用した処理が必要であるため,大きな環境負荷が伴われる.本研究ではこの問題を解決するために,浸出処理に先立って貴金属に亜鉛蒸気を接触し,溶解性の高い化合物にする方法を提案している.本年度は,貴金属を容易に溶解するための条件を明確にすることを目的とし,貴金属(白金・金・ロジウム)と亜鉛蒸気の接触反応および生成する化合物の溶解挙動について調査を行った. 特に,白金とロジウムに関しては,亜鉛との化合物を形成するための反応条件に関する研究例が少ない.そこで,反応容器内に温度差を設けながら亜鉛蒸気を貴金属に接触することで,化合物形成に必要となる反応時間や亜鉛蒸気の圧力について調査した.得られた知見から,温度差の制御によって様々な組成の貴金属-亜鉛化合物を作製するための反応条件を明らかにした. つづいて,作製した貴金属-亜鉛化合物の溶解速度を電気化学的手法により測定し,溶解の挙動について考察した.この際,チャンネルフロー二重電極法を用いることで,化合物から貴金属と亜鉛が溶解する速度を分離して測定した.この結果,亜鉛濃度が高い化合物をアノード溶解した際には,化合物から貴金属が溶解する速度が時間の経過とともに増大することが示された.さらに,化合物の種類によっては,貴金属の溶解速度が貴金属単体の溶解時よりも二桁以上大きくなることが明らかとなった.貴金属の溶解速度が増大した要因の一つとして,亜鉛の優先的な溶解による表面積の増加が考えられる.溶解過程における化合物の形状変化について,考察を進めている.
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Research Products
(2 results)