2008 Fiscal Year Annual Research Report
三次元気象化学輸送結合モデルを用いた東アジアにおける黒色炭素粒子の気候影響評価
Project/Area Number |
08J10352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 長 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | エアロゾル / 大気化学 / 黒色炭素粒子 / 放射特性 / 雲凝結核特性 / 物質輸送 / 気象 / 大気環境 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発したブラックカーボン(黒色炭素粒子)の被覆状態を物理化学法則に基づき精度良く計算するモデルを用いて、大気中を輸送されるブラックカーボンの被覆量の時間変化、及びブラックカーボンへの被覆かエアロゾル光学特性・雲凝結核特性に及ぼす影響を定量的に評価した。その結果、春季日本近辺の典型的な汚染空気塊中では、ブラックカーボンは被覆されることにより、ブラックカーボンによる太陽放射の吸収効率が40-60%程度増大するとともに、雲凝結核として働くことで降水に伴い大気中から除去され得る効率が60-80%程度増大することが明らかとなった。また、エアロゾル光学特性・雲凝結核特性を正しく推定する上で、ブラックカーボンを全く含まないエアロゾルが重要な役割を果たしていることを明らかとした。さらに、ブラックカーボンの被覆状態をどの程度詳細にモデルで表現すればよいかを定量的に調べることで、本質を損なうことなく、計算効率が良いエアロゾル表現を考案した。本年度はこれらの研究成果を学術論文としてまとめ、アメリカ地球物理学会誌に投稿・掲載された。これらの研究と並行して、ブラックカーボンの被覆状態の変化を詳細に計算できる本モデルの計算結果を用いて、グローバルモデルで表現可能かつ本質を損なわない、ブラックカーボンの被覆過程の新しい簡易的なパラメクリゼーションを開発した。また、2008年春季に日本近辺で行われた航空機観測のデータを使用して、ブラックカーボンが中国大陸から日本近辺へ輸送される過程を三次元モデルを用いた計算から明らかにしつつある。
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Research Products
(7 results)