2010 Fiscal Year Annual Research Report
三次元気象化学輸送結合モデルを用いた東アジアにおける黒色炭素粒子の気候影響評価
Project/Area Number |
08J10352
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
大島 長 気象庁 気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官
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Keywords | エアロゾル / 大気化学 / 黒色炭素粒子 / 物質輸送 / 湿性沈着 / 雲凝結核特性 / 気象 / 大気環境 |
Research Abstract |
本年度は、A-FORCE航空機観測(2009年春季東アジア域で実施)により得られたブラックカーボン(黒色炭素粒子)エアロゾルの三次元的な空間分布のデータと、これまでに改良を続けてきた領域三次元化学輸送モデルによる数値計算結果を組み合わせて、ブラックカーボンの輸送過程と除去過程について調べた。本研究により、ブラックカーボンが大気中から除去される割合は、ブラックカーボンを含む空気塊が輸送中に経験する降水量に強く依存することが明らかとなった。また春季において、中国南部では強い降水に伴う積雲対流や低気圧活動によりブラックカーボンが効率良く大気中から除去されるのに対し、中国北部では弱い降水に伴う低気圧活動によりブラックカーボンが効率良く自由対流圏中へと上方輸送されることが明らかとなった。春季東アジア域においては、降水に関連する気象場の違いが、ブラックカーボンの広域空間分布を決定する上で重要な役割を果たすことを明らかとした。これらの研究成果は現在学術論文としてまとめつつあり、米国地球物理学会誌へ投稿準備中である。 これらの研究と並行して、沖縄県辺戸岬におけるブラックカーボンの長期観測結果と領域三次元化学輸送モデルによる計算結果(2008年2月から2009年5月まで)を組み合わせて、中国におけるブラックカーボンの排出源データの検証を行った。その結果、本研究による推定値と排出源データの値はほぼ等しく(誤差40%)、中国におけるブラックカーボンの排出量の推定精度が従来よりも大きく向上したことが明らかとなった。本年度はこれらの研究成果を学術論文としてまとめ、米国地球物理学会誌へ投稿した。
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Research Products
(7 results)